【 春夏秋冬 】
◆7CpdS9YYiY




41 :No.11 春夏秋冬(1/4) ◇7CpdS9YYiY:07/02/24 20:25:52 ID:ElTG1JCg
 春は、闇討ち。
 やうやう桜の咲きし桜の山で、酔ひ浮かるるがさうなし。
 刀は選ばず。桜花と笑ひ談ずる者あらばしのびて背後より一突きにて事、足りたるためなればなり。
 春雨にて、刀、いとこうず。袂に紙三枚、まめなり。


 意訳

 春は闇討ちに適している。
 やっと桜の咲きほころび始めた山の中で、酔って浮かれる花見客がいいカモだ。
 手段は選らぶほどでもない。人目を避けつつ、桜の樹の根元で立ちションしてるやつを
背後から突き刺せばいいだけだからである。
 春の雨は止んだり降ったりせわしないので、刀を非常に弱らせる。
懐に常に和紙を三枚ばかり持ち歩くのが実用的だろう。

42 :No.11 春夏秋冬(2/4) ◇7CpdS9YYiY:07/02/24 20:26:15 ID:ElTG1JCg
 夏は、追ひ剥ぎ。
 日の頃は、あひなし。蛍のかげに紛れ襲ふがあらまほし。
 者の、やむごとなきはもとより、わびしもまたつきづきし。せめてまぐわることこそ、いとをかし。
 おのかじし、女、かこつけはひこそ、いとほし。男、ののしるあらましこそ、いとあらまほし。
 ありがたし、すでに穴の広き男は、すさまじ。
 潮の風にて、刀、あだなし。椿の油、つきづきし。


 意訳

 夏は追い剥ぎに適している。
 昼間は良くない。夜、蛍の光に紛れて襲うのが理想的だろう。
 貴族を襲えば金になるからもちろんだが、貧民でも獲物としては相応しい。強姦はとても面白い。
 それぞれの楽しみは、女の場合は泣き喚いたりする様子が可哀想で可愛くてたまらない。
男の場合は、驚いて騒ぎ立てるのが好ましい。
 珍しいことではあるが、誰かによって使い込まれているときもある。その時は、白ける。
 潮風で刀はすぐ駄目になる。椿油を塗るのが適切だろう。

43 :No.11 春夏秋冬(3/4) ◇7CpdS9YYiY:07/02/24 20:26:37 ID:ElTG1JCg
 秋は、辻斬り。
 月の頃は、さらなり。手のざわめきて、もどかし。
 月、山の端いと近うなりたるに、人の、家路につくとて、伏せて飛びかからん。
 三つ四つ、二つ三つ、逃げまどふさえ、よに逃がさず、斬るなり。
 ばっさばっさばっさと人の倒るるは、あへなし。鼻、耳、包みて帰へり、ししびしおにするは、げにいみじ。
 酒、きこしめし、うけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ。


 意訳

 秋は辻斬りに適している。
 月夜の晩は特にそうだ。手がぴくぴく震えて、焦れったくなる。
 月が昇りかけの頃に、町人が家路に着くところを狙い、物陰に隠れて飛び掛かるのが上策だろう。
 三人四人、いや、二人か三人か、どっちでもいいが慌てふためいて逃げるが、決して逃さず、斬る。
 ばっさばっさと人が倒れるところは、見ていて呆気ないと思う。戦利品として鼻や耳を削ぎ落として持ち帰り、塩漬けにする。
 それを肴に、上機嫌に酒を飲み、うけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ。
 アホか。


 訳注
 さっきから黙って訳してれば、アナルセックスとか人肉嗜食とか、正気の沙汰ではない。
 けしからんことこの上ないが、これも仕事であり、訳者自身の性癖とは無関係であることを、ここに断言しておく。

44 :No.11 春夏秋冬(4/4) ◇7CpdS9YYiY:07/02/24 20:26:57 ID:ElTG1JCg
 冬は、死合。
 雪の降りたるは、いふべきにもあらず、霜のいと白きも。
 敵、凍え、われ、袂に石を抱え、凍えたるをもてなす。寒さに縮みたれば、勝負はあきらかなり。
 年のなかで刀をつかはざる頃なれば、きはめて研げり。春にならば血で汚るるも。
 いたずらなり。つれづれなり。
 夕に一つ火を熾し、ねこまを膝に抱えん。そのあくがるを抑へ、刀を振り、ねこまをあやし、火の盛るるを待ちたり。
 わろす。


 意訳

 冬は果し合いに適している。
 雪の降る日はもちろんのこと、霜の降りた日も。
 敵は寒さに凍えているだろうが、私は温めた懐石を忍ばせて、凍えた振りをしている。
相手だけが寒さに縮こまっているからして、勝負は明白である。
 一年中で最も刀を使わない時期なので、念入りに研ぐ。どうせ春になれば血で汚れるのだけれど。
 あー、暇だ。退屈だ。
 夕方には火鉢に一つ炭火を入れ、猫を膝に抱える。
逃げようともぞもぞするのを優しく抑え、刀をぶらぶら振って猫をあやしながら、火がよく燃えるのを待っている。
 ここには明確に記述されていないが、夕と一と火がかかっていることからして、
この猫はこの後、炙られて喰われるのだろう。
 ワロス。



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