【 ブラケン 】
◇kz8nMj3y0




706 名前:お題:旅 ブラケンT :2006/04/15(土) 22:57:35.39 ID:kz8nMj3y0
「この世界には私たちが知らぬ数多の神秘がいまだ隠されています。
それら未発見のの神秘、財宝はこの世界全ての冒険者のあこがれです。
というわけで、本日も始まりました〜。第39回ぶらり秘境探検隊‐温泉宿美人女将はみた。
スタッフの悪ノリと総務部のいい加減な予算編成で始まったこの番組、
意外なほど好評で、深夜の4時枠という、他の局がキャラバンの大移動やら、南ロック蝶の群れを写しているという、
ライバルのいない非常にすばらしい時間帯にお送りしております。」
長机とパイプ椅子がならび、古びた映像保存用水晶石が数個しかない非常にやすっぽいスタジオ。
ジャケットに蝶ネクタイ、黒ぶち眼鏡と半ズボン、スニーカーという
きわめて胡散臭い格好をした司会の男は、ハイテンションに司会をすすめていく。
「ぶらり、秘境探検隊-温泉美人女将はみた、略してブラケン。本日も司会は私、エドガーがつとめさせていただきます。
イラーネ大陸のことわざにあるますよね、可愛い子には旅をさせろと。その言葉にのっとり世界各地からあつめられた
美少女冒険家の方々にジャングル、砂漠、山奥、洞窟などなど世界中の秘境にいってもらおうというのが番組の趣旨です。
っと紹介が遅れてしまいました。本日はブラケン特別委員会副理事(ファンクラブ会員ナンバー2)で
あります、ヤスオ・ノリタケさんに解説のためお越しいただいております。」
「どうも」
ヤスオ、通称ヤッサンはくぐもった声で一言だけで挨拶を済ませた。TVだというのにやる気もまったくなく、ぼーっとしている。
「はい、やる気の無いコメント、どうもありがとうございました。それではいよいよ、先だって秘境にいっていただいた美少女冒険者の方々の
紹介をさせていただきます…それではご登場ください。」
安っぽいスタジオに水着姿の少女たちが3名入ってくる。
これまでテンションの低かったヤッサンの目が急激に輝きを取り戻してきた。
「それでは簡単に自己紹介をおねがいします。まず一人目はユウキ・コヒナタさん。」
「はい、ユウキ・コヒナタです、よろしくお願いします。あんまりスタイルよくないので、水着はちょっと恥ずかしいですが。
頑張ってドラゴン退治もしてきたので最後までご覧くださいね。」
幼い顔つきのショートカットヘアの少女、ユウキはそう自己紹介した。
身長は150cm前後、体つきは華奢そのものでワンピースの水着が彼女の幼さをより強調していた。
ボーイッシュな感じのする少女だが、その華奢な体の胸部にあるわずかではあるが柔らかなふくらみは、少女が女であることを強く主張していた。
「うおおー、ユウたーん。ロリっこ萌えぇぇぇ。はう〜、おもちかえり〜」
すでにいった目をしているヤッサンがそう叫びつつ、小型映像保存用水晶石でしきりに少女の水着姿を無数のアングルでとりはじめた。
というか男のはぅ〜がこれほど気持ち悪いとは、ある程度は予想していたが、とりあえずいっぺん死んでほしい。
今この場で死に装束をきた、黒髪の少女に、赤い糸が結ばれたわら人形をわたされたら、まよわずその赤い糸をひくことだろう。

707 名前:お題:旅 ブラケンU :2006/04/15(土) 22:59:42.85 ID:kz8nMj3y0
「お持ち帰りは駄目ですよ。犯罪です。あと個人撮影もやめてください。それでは次の方です、ミーナ・アシュロンさん。」
ミーナは美少女というより美女とけいようすべきだろう。妖艶な色香はみるものの心を惑わすには十分すぎるだろう。
彼女がわずかに体を動かすだけで、そのたわわに実った果実のような乳房は、大きく揺れ、その場の人間全ての視線を釘付けにしていた。
「はーい、ミーナ・アシュロンといいますぅ。わたしはー北の魔城でぇ、ゴーストの」
「は、はさんでくれぇー!!」
いきなり叫びながら立ち上がると
カチャカチャカチャと、ズボンのベルトに手をかけ始めるヤッサン。
「ちょっ、なにズボンのベルトに手をかけてるんですか。何をだすきですか、ナニを。駄目ですって、ちょっと、おいこら」
司会者の姿が一瞬でかききえる。次の瞬間
ガス
一息でヤッサンの間合いに入った司会者が放った、バニッシュ・シュート(延髄蹴り)がみごとにきまった。
「がはっ。はぁはぁはぁ、ふぅ、すいません。とりみだしてしまいました。」
「そうですね。一度神殿に行って浄化してもらったほうがいいとおもいます。それではいよいよ最後です。リエ・E・ホイマンさん。」
「リエ・E・ホイマン、私はエルルン砂漠に行ってきたわ」
つり目でりりしい顔つきをした彼女はそう短く一言だけいった。
勝気な目をしているものの、やはり水着姿であることが恥ずかしいのだろう、
顔はかすかに紅潮し、緊張のために両の手をつよくにぎりしめていた彼女は
「か、勘違いしないでよね。私は別にあんたたちのためにいったんじゃないんだから。」
水着による羞恥に耐えられなかったのかさらにそう付け加えた。
「……」
ヤッサンは今度は無言だった。無言のまま静かに立ち上がり…
「ちょっ、そんなアサシンみたいに近づこうとするのはやめてください。その目と手つきはマジやばいです。」
撮影スタッフ2名と司会者エドガーがあわててとめに入るもヤッサンは見事な身のこなしで、
やすやすと彼らの攻撃をかいくぐり、無垢な少女たちへとその毒手を伸ばしていった。
「やばい、エドガーさん。こうなったらしかたありません。あれをやりましょう。」
「しかし、あれは危険すぎる」
「でも、もうそれしか彼女たちを守るすべはありませんよ」
「キャー」
少女たちの悲痛な叫びがエドガーの耳から脳髄に叩き込まれる。
「くそ、しかたない。やるぞぉお、お前らぁ」

708 名前:お題:旅 ブラケンV :2006/04/15(土) 23:00:36.45 ID:kz8nMj3y0
エドガーたちはヤッサンを中心に取り囲むように三角形を作り上げた。
彼ら三人だけがもつの最終究極絶対奥義。
それは、三角形の中心にいる敵を一瞬にして昇天させてしまうという恐るべきものだ。
三つの心が一つになったとき、その奥義は完成される。
だがもしも三人の心がばらばらならば、その力は術者の方にかえってくる。
強大な力を持つ代わりに、術者すら傷つけかねない諸刃の剣、それが彼らの奥義の正体だ。
『うおおおぉぉぉー』
エドガーたちからものすごい量の闘気がたちのぼる。
ドゴガガガガガ
オーラの余波がぶつかりあい、空気を振動させる。
そして、三人の心がひとつになった
『くらえぇー、いま必殺のシャーインズゥ・パーーーークゥ」
まばゆい光が安っぽいスタジオをつつみこむ。
『ビート・エンドォ』
ドガァン、音だけ派手な小爆発がおこる。
「ぐわぁぁー」
大魔王(ヤッサン)の絶叫が真っ白な空間の中にひびいた。
エドガーたちはやった、とうとう大魔王とかしたヤッサンを打ち倒したのだ。
だが、エドガーはその勝利に酔うまもなく蝶ネクタイをただし、マイクをつかみ
「はい、それでは紹介もすみましたので、さっそくVTRに移ろうとおもいます」
何事も無かったかのように番組を再開した。
少女達三人とエドガーはそれぞれ、おもいおもいのポーズをきめつつ、
声をそろえてブイを振った。
『VTR〜、スタートォ』



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