【 山中の硬貨 】
◆NODOKAiFx2




585 : のどか ◆NODOKAiFx2 : 2006/03/32(土) 22:37:08.03 ID:pWTGggOc0
目覚めると、森の中だった。
恐らく夜なのだろうが、夜空は全く見えない。ただ黒いカーテンがかかっているだけだ。
怪我はしていないようだ。立ち上がって周囲を見回す。
周りには枯れ木と落ち葉以外何も無い。
どこが頂上で、どこが麓なのか。それが判らない。
そもそも私は何故ここにいるのだ?
とにかくここから脱出しよう、そう考えた私は持ち物を確認する。
ポケットの中に五百円玉が入っていた以外は、何も持っていない。
そして同時に気付いたのだが、山登りにしては軽装過ぎる。
山の風が徐々に体を冷やしていく。だが、五百円玉では何も出来ない。

その時だった。背後から、枯れ葉を踏みしめる音がした。
「誰だ?」
咄嗟に身構えて後ろを振り返る。誰もいない。

586 : のどか ◆NODOKAiFx2 : 2006/03/32(土) 22:37:26.39 ID:pWTGggOc0
「気のせいか・・・」
自分を安心させる為に呟く。
とにかく脱出するのが先だ、そう考えた私は、北極星を探し始めた。
空は、雲でもかかっているのか真っ暗だった。それはさっき確認した筈なのだが、
今は一つでも脱出への目印が欲しい。
だが、結局北極星は発見出来なかった。

寒い。寒い。寒い。
そう思いながら男は、指先に付けた唾で風向きを確認した。
風が吹き込んでくる方なら麓に着くのではないか、と思っていたからだ。
そして男は歩き出した。

一時間ほど歩き、男は妙な感覚にとらわれた。
周りの枯れ木や枯れ葉の位置関係、つまり自分が立っている場所が
まったく変化していないのではないか、と。
それでも男は歩き続けた。

587 : のどか ◆NODOKAiFx2 : 2006/03/32(土) 22:37:59.15 ID:pWTGggOc0
どれ程の時間が経っただろうか。
男の喉は渇き、空腹は限界に近づいてきた。
その時、前方からかすかな光が見えてきた。
男は、力を振り絞り走った。

どうやら光は、山小屋から漏れている様だ。
助かった、そう思い男はドアをノックする。
一回、二回、三回。反応が無い。
窓を覗きこんで見るが、雨戸が降りており中は見えない。
とりあえず開けてみよう、そう思った男はドアに手を掛ける。

中は電気がついておらず、かつ家具などが一切無い、異様な雰囲気だった。
男は当然気が付いた。なぜ光が漏れているのか?漏れる筈が無い。
もう一度確認しよう、と思っても足が動かない。
その時、男を睡魔が襲った。
足が体重を支えきれない。そのまま床に倒れこむ。

588 : のどか ◆NODOKAiFx2 : 2006/03/32(土) 22:38:32.38 ID:pWTGggOc0
何時間経っただろうか。男は目を覚ました。
そして、自分の足元にパンが置いてあるのに気が付いた。
男は、何も考えずにパンに飛びついた。
そしてパンを食べ終わった男は、再び襲ってきた睡魔に耐え切れず
再び倒れこんだ。

三日後、男は山中で倒れているところを捜索隊に発見された。
何も持っていない男がどうやって生き延びたのか。
そもそも何故あんな所にいたのか。
今となってはわからない。
ただ、男が何を食べたのかはわかった。

男の胃からは、五百円玉が発見されているからだ。

一人称に挑戦・・・してみたんだけど途中から三人称OTL
そして文・内容ともに稚拙でごめん。



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