【 都会の闇 】
◆MMEYTMikmI




331 名前:品評会作品 タイトル:都会の闇 ◆MMEYTMikmI :2006/08/06(日) 02:35:26.99 ID:i8SYA/MQO
 都会にも、闇は存在する……

「あん?停電か?」
 いきなり俺の部屋が真っ暗になった。
 窓から外を見たら、他の家はフツウに電気がついてた。うちのアパートがボロいせいで停電したのか。
 俺はリョウタ。このボロアパートで一人暮らししてる。
 今俺はかなりムカついてる。アユミのことで。
 今日、アユミから、今すぐ来てと電話があった。
 俺がアユミんちに行くとアユミは、どうやら妊娠したみたいだと言った。
 しかも、結婚してこの子を生みたいなんてことまで言いやがった。
 俺はまだそんなオッサンじゃねえし、遊んでたいから、すぐに断った。
 そしたらアユミは泣き出しちまった。そんで俺は帰ってきた。という訳だ。
 そんときのことを思い出しながら、今ソファーに座ってる。
 しばらくして目が慣れてくると、何もないはずの壁の方に、なにかが見えてきた。
 暗闇の中にもっと黒いものが見える。
「あれは……人か?」
 そんなわけがない。今ここには俺しかいないはずだ。
 しかし、そこにはまぎれもなく人影がある……
「んなワケねぇだろ!」
 この年でオバケが怖いってのか、ばかばかしい。そう自分に言い聞かせながらも、その人影から目線をそらした。
「ギャアアア!!!」
 隣の部屋からの悲鳴。隣は俺と同じ一人暮らしの男が住んでいる。
「ゴキブリでも出たんだろ!」
 叫んでいた。叫ばずには居られなかった。怖かった。ひざが震えだした。
 「さっきの……人影は……」
 人影の方を見た。

 人影がアユミヨッテキタ……

都会にも、いや、都会にこそ闇は存在する……



BACK−鈍色暗中(にびいろあんちゅう)◆bvudrb.vA2  |  INDEXへ  |  NEXT−黄昏の国 ID:2FpLrv1A0